寺島 実郎(一般財団法人日本総合研究所会長)
苦闘する人間への暖かい共感
評伝には、評する側の人間の眼線が鏡のごとく投影される。佐高信の眼線は、厳しく澄んでいるが、同時に現場で苦闘する人間への暖かい共感にも満ちている。ここには城山三郎、久野収、石橋湛山、田中角栄、大平正芳、宮澤喜一と私にとっても特に心に残る人物達が描かれているが、戦後日本という矛盾に満ちた時代を真剣に生きた人物と正対してきた佐高信の真骨頂ともいえる作品群であり、その行間に私は佐高信の美学を感じる。人間観を磨く座標として大切にしたい。
田中 優子(法政大学名誉教授、同大学19代総長)
「評論の神髄」としての評伝
佐高信の評論の中で、後世に読み継がれるべき筆頭は評伝である。佐高信の評伝は単なる生涯の記録ではない。佐高信が追い求め考え続けている、この近現代における人間のありかたであり、評価であり批判である。明確な価値観がそこに見える。それこそが「評論の真髄」なのだ。この転換期に、「お前はどう生きているのか」と問われるばかりでなく、「どういう言葉を残すのか」と問われている。答えを迫られる作品群だ。
田中 秀征(元経済企画庁長官、福山大学客員教授)
厳しさと暖かさ
佐高信君との気ままな交遊もかれこれ五十年を越すだろうか。一編集者として世に出る前から人やものの本質に迫る力、それを表現する力が際立っていたように思う。だから、人物伝が彼のお家芸になったのだろう。
偽善者の仮面をはぎ取る厳しさに閉口することもあるが、そんな場合でも奥には彼一流の暖かさもある。
今回彼が評伝をまとめて出版すると言うので楽しみにしている。なかには私自身が深く関わった人たちもいるので、どんな切り口を見せてくれるのかも注目している。
鎌田 慧(ルポライター)
人間的な幅の広さ
佐高信を信頼しているのは、歳を重ねるにつれてますます批判がラジカルになっているからだ。たぶんに時代が悪化していることもあるが、批判的精神をもちつづけるには、知的好奇心ばかりか、反批判にたいする緊張感を必要とする。といっても、佐高信の真骨頂は人間的な幅の広さで、このシリーズに脈打っている保守派の政治家たちへの真っ当な評価と人間讃歌は、現在ただいま、人間不信の悪政を変える、大いなる力に転化するであろう。
落合 恵子(作家・クレヨンハウス主宰)
「まっとうに生きる」こと
まったくもって この社会は
ずるい奴ほど よくもてる
フェアじゃない奴こそ トクをする
そうお嘆きの、貴姉、貴兄にいま
タフなファイターであり、
デリケートな評論家である
佐高信の評伝選を。
まっとうに生きることを 考えたい。
いまこそ、いまから、これらの評伝から。
あなたから、わたしから。
吉永 みち子(ノンフィクション作家)
命がけの甘さ
佐高さんというと、まるで枕詞のように辛口という二文字がくっついてくる。確かに評論家としての佐高さんは激辛である。しかしその反面、甘口の佐高さんもいるのではないかと思う時がある。人の人生の暗部も含めてすべてを引き受けようとする優しさに溢れた評伝を読む時、寒風の中にも春の風の暖かさを求めるような命がけの甘さを感じる。浮かび上がる人物の輪郭が丸みを帯びている。だから、私は佐高さんが描く評伝が好きなのである。
2022年 10月25日刊行 発売中 |
第1巻 「鮮やかな人生」 2750円(税込) 460頁 ISBN978-4-8451-1779-6 |
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12月25日刊行 発売中 |
第2巻 「わが思想の源流」 2750円(税込) 460頁 ISBN978-4-8451-1780-2 |
2023年 2月28日刊行 発売中 |
第3巻 「侵略の推進者と批判者」 2970円(税込) 550頁 ISBN978-4-8451-1781-9 |
4月28日刊行 発売中 |
第4巻 「友好の井戸を掘った政治家」 2860円(税込) 510頁 ISBN978-4-8451-1782-6 |
6月30日刊行 発売中 |
第5巻 「歴史の勝者と敗者」 2750円(税込) 460頁 ISBN978-4-8451-1783-3 |
8月31日刊行 発売中 |
第6巻 「俗と濁のエネルギー」 2750円(税込) 460頁 ISBN978-4-8451-1784-0 |
10月31日刊行 発売中 |
第7巻 「志操を貫いた医師と官僚と牧師夫人」 2860円(税込) 490頁 ISBN978-4-8451-1785-7 |
隔月刊行/四六判上製・カバー装 |
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